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2016年8月

2016年8月20日 (土)

時を跳び越えたその先は?

Photo

 筒井康隆さんの名作、『時をかける少女』。ある夕方、理科実験室で怪しい人影が消えるのを目撃した和子は、翌朝の登校の途中、不思議な経験をします。

 「信号を無視した大型トラックが、和子たちのほうへ、交叉点のほうから驀進してくるのだ」

 避けようとして友だちとぶつかり、転んでしまう二人。絶体絶命! というところで、彼女は初めてのタイム・リープを経験することになります。

 この作品は、もともとは中学3年生に向けて連載が始まったもの。そのためでしょう、文章でもむずかしい漢字はほとんど使われていません。それだけに、「驀進」という熟語が、とても印象に残ります。

 前日に戻った和子は、一度習った授業を受け、一度やった宿題をし、一度過ごした夜を同じように過ごします。そうして、いよいよ翌朝の登校の途中。

 「交叉点のほうから、大型トラックが暴走してきた」

 しかし、今回は、和子の注意深い行動により、二人は事故に巻き込まれないで済んだのでした。

 前回、「驀進」してきた大型トラックは、今回は「暴走」。和子は同じ時間をくり返して生きているようで、実は前回の今朝と今回の今朝は、完全に同じ時間ではない。そのことが、この二つのことばに現れているように感じます。

 だとすれば、前回の時間は、どこへ行ってしまったのでしょう? 和子が大型トラックにひかれてしまった時間の流れも、存在しているのでしょうか。

 時間もののSFは、考えれば考えるほど、わけがわからなくなりますね!

*   *   *

 ところで、「毎日ことば90秒」の動画、本日、最終回が配信となります。今回、取り上げるのは、以前、このブログでも扱った「〆」や「〼」の問題。下記ページよりご覧になれますので、どうぞ。
http://mainichi.jp/koetsu/

 また、学習院生涯学習センターで、9月14日の(水)から「おとなのための漢字学習」という全6回の講座を開催いたします。詳細は、下記ページに。ご興味のある方は、ぜひともご参加ください。
http://open.gakushuin.ac.jp/course/detail/2016/B/029/

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2016年8月13日 (土)

この世には「義」があふれてる!

 お盆休み、実家に帰省されているという方も多いのではないでしょうか。私はというと、フリーランスの身のくせに世間の繁忙期に行動するのは申し訳ないというわけで、自宅でたらたらとパソコンに向かっているという次第。

 とはいえ、この暑いさなかに仕事に身が入るはずもなく、なんとなくネットサーフィンをしておりましたら、「義実家」ということばが目に入ってきました。「よしざね」さんのおうちのことかな? と思っていたら、さにあらず。夫なり妻なりの実家を指すのです。

 ネット上では読み方はよくわかりませんが、「ギジッカ」と読むのでしょうね。国語辞典には出て来ないことばです。

 そこで、「義実家」で検索をかけてみると、一緒に「義両親」ということばも出てきました。なるほど! そういう言い方もされているのですねえ。

 おもしろがっていろいろと検索してみると、「義孫」はもちろん、「義伯父」「義叔父」「義伯母」「義叔母」も出て来ます。「義従兄」「義従弟」「義従姉」「義従妹」もありますから、当然、「義従兄弟」「義従姉妹」だって用いられることがあるのでしょうねえ。ちょっと驚くことに、「義甥」「義姪」も、検索ではひっかかります。

 それにしても、こういう場合、「ギまご」「ギおじ」「ギおば」「ギいとこ」「ギおい」「ギめい」などと重箱読みにするのでしょうか……。

 「義兄嫁」「義弟嫁」も見つかりました。「義嫁」も出て来ますが、この場合の「嫁」は、息子の妻、つまり義理の娘のことですから、特殊な事情がない限り、「義嫁」はおかしな表現になってしまうことでしょう。

 ちなみに、「義姉夫」「義妹夫」という言い方も、少なくともネットの世界には、存在するようです。

 漢字「義」の活躍ぶりに、猛暑でやられた頭が生き返ったことでした。

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2016年8月 6日 (土)

お仕事に関する情報いろいろ

 去る8月2日に、福井県の教育庁さんからお招きにあずかり、県立図書館にて漢字文化講座「四字熟語で読み解く小説の世界」という講演を行ってまいりました。お集まりいただいた約100名の聴衆のみなさん、そして教育庁の生涯学習・文化財課の方々、ありがとうございました。

 その際にお聞きしたのですが、福井県では、「白川静漢字教育賞」を実施しています。学校教育のみならず、広く、漢字の教育に関わる実践を表彰する賞だとのこと。今年の応募締め切りは、9月9日。詳細は、下記をご覧ください。
http://www.pref.fukui.lg.jp/doc/syoubun/shirakawa/kannjikyouikusyou4.html

 ところで、前々回、ご紹介した「毎日ことば90秒」の動画、本日、2回目が配信となります。今回のテーマは、「『越』と『超』の使い分け」。毎日新聞社さんは太っ腹で、拙著『漢字の使い分けときあかし辞典』(研究社)の宣伝をさせてくださるという次第。下記ページよりご覧になれますので、どうぞ。
http://mainichi.jp/koetsu/

 なお、前回の「毎日ことば90秒」で取り上げた「○育語」について、さまざまな情報をお寄せくださった方々、ありがとうございました。拙HP内の「○育語辞典」にも、とりあえず7項目を追加いたしました。まだまだ追加していけるのではないか、と思っております。よろしくお願いします。

 宣伝をもう1つ。岩波書店の雑誌『図書』の最新号に、拙稿、「出版創業者たちの物語——『路傍の石』を読み直す」を掲載していただきました。次号と合わせて上下2回で、山本有三の『路傍の石』を出版業界小説として読んでみよう、という試みです。ぜひ、ご一読ください。

 最後になりますが、今日は71年目の広島原爆の日。原爆のために命を落とされたすべての方々に、心より哀悼の意を捧げます。

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