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2016年5月27日 (金)

四角と丸が、運命の分かれ目?

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 4月から7月にかけて、学習院生涯学習センターで、6回シリーズの漢字に関するお話をさせていただいています。今週の水曜日に取り上げたネタの中から、自己満足度(?)が高かったネタをひとつ、ご紹介いたしましょう。

 「囗」の中に「書」を書いて「図書館」を表す漢字を、ご存知でしょうか?

 現在刊行されている、高校生から社会人までをターゲットにした漢和辞典ならば、たいてい載せています。阿辻哲次先生の『漢字の相談室』(文春新書、2009年)によれば、この漢字は、1925年ごろ、中国の図書館関係者が造り出したもの。1文字で「図書館(現代中国語ではトゥーシューグアン)」と読む漢字として、かつては図書館業界ではけっこう使われたのだそうです。

 漢字は表意文字ですから、一定の読み方と一定の意味を表す必要があります。その点、この「図書館」は、「漢字」としての要件を備えています。とはいっても、これって、「書」のまわりを四角で囲った「記号」なんじゃないかなあ、というご意見も、聞こえてきそうです。

 もしこれが「漢字」なのだとしたら、丸の中に「秘」を書くあのマークだって、「漢字」だと言えるんじゃないでしょうか? だって、「まるひ」という読み方をするわけですし、「外部にもれないよう、取り扱いに注意すること」といった意味を表しているわけですから。

 私たちが「まるひ」を「漢字」だとは思わないのは、おそらく、丸で囲まれているから。でも、漢数字の「〇(ゼロ)」という例もありますからねえ!

 「漢字」も「記号」の一種です。では、どこまでが「記号」で、どこからが「漢字」なのでしょうか? 

 これは、なかなかむずかしい問題です。「図書館」は漢字で「まるひ」が漢字ではないことをスッキリと説明できるような「漢字」の定義を、私はまだ見つけられないでいるのです。

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漢字・ことば」カテゴリの記事

コメント

先生、こんにちは。お久しぶりです。待ってました。
圕は初めて聞きましたし、丸秘(確かにIMEパッドでも出ませんね)が漢字かどうか考えた事もありませんでした。
所謂囲み文字ですよね。屋号などに使う。
辞典では会意で囗+書になっていて囗には意味がある。
その理屈でいくと丸秘は秘+丸音となって意味は無いが音になる。
いや、秘自体必が音だから音が二つあることになる・・・こんがらがってきました。

私の結論・・・これ以上漢字が増えると大変なので丸秘は記号ということで。←軟弱者

P.S.漢数字の〇が辞典で見つけられないです。

投稿: モフモフ | 2016年5月29日 (日) 09時01分

円満字さま、こんばんは。

記事を拝読して、まず「囲む」ということについて、モヤモヤ考えました。囲むことによって対象の周囲の領域を区切り、囲む対象を強調しているのが「○+秘」の表現だと思われますが、「○」が判子の囲みだとすると、判子の囲みは部首になりうるのか? という悩みが出てきました。
他方、「囗+書」のほうは、くにがまえに分類されていますが、手近な手段としてネットで調べてみると、「囗」の最後の一画は「図書館」の「館」を表すとあるのを見つけ、単純に「図」の一部を引っ張ってきたわけでもないのか、ということを知りました。
そういうわけで、この二者はいずれも部首に於ては便宜上の分類しかできないのか? と思う次第です。
さらに、音訓の問題では、「としょかん」は全て音読みで、「マル秘」に至っては訓読みに分類できるのか謎……。

これって、「囗+書」の方が既に漢和辞典に載っているから、こういう疑問が生じているのですよね? 図書館業界に於て、成り立ち・由来の正統性がはっきりしている字だからなのですよね。対して、あまりに通俗的な「○+秘」が漢和辞典に載る日が来るとしたら、同様に世に通用している記号の記載も一気に増えそうだなあ、と想像しました……。

投稿: しろねこ | 2016年5月29日 (日) 21時54分

モフモフさん、しろねこさん、貴重なご意見、ありがとうございます。
 やはり、「○秘」を漢字だと認めるのには、抵抗がありますよね。「□秘」だったら、その抵抗はだいぶ少なくなるように思います。
 つまり、漢字が漢字であるためには、漢字らしい形を備えている必要があるのでしょう。とは言っても、『大漢和』などを探すと、およそ漢字らしくない形をした漢字も収録されていたりして……
 「図書館」の「□」が国構えだというのも、後付けの意味のような気もしますしね。
 漢字と記号の境界線は、意外とはっきりしないものだ、というのが実感です。
 なお、漢数字の「○」は、学研さんの『漢字源』に収録されています。ちなみに、画数は1画、部首はなんと国構えです!

投稿: 円満字二郎 | 2016年5月30日 (月) 08時59分

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