四角と丸が、運命の分かれ目?
4月から7月にかけて、学習院生涯学習センターで、6回シリーズの漢字に関するお話をさせていただいています。今週の水曜日に取り上げたネタの中から、自己満足度(?)が高かったネタをひとつ、ご紹介いたしましょう。
「囗」の中に「書」を書いて「図書館」を表す漢字を、ご存知でしょうか?
現在刊行されている、高校生から社会人までをターゲットにした漢和辞典ならば、たいてい載せています。阿辻哲次先生の『漢字の相談室』(文春新書、2009年)によれば、この漢字は、1925年ごろ、中国の図書館関係者が造り出したもの。1文字で「図書館(現代中国語ではトゥーシューグアン)」と読む漢字として、かつては図書館業界ではけっこう使われたのだそうです。
漢字は表意文字ですから、一定の読み方と一定の意味を表す必要があります。その点、この「図書館」は、「漢字」としての要件を備えています。とはいっても、これって、「書」のまわりを四角で囲った「記号」なんじゃないかなあ、というご意見も、聞こえてきそうです。
もしこれが「漢字」なのだとしたら、丸の中に「秘」を書くあのマークだって、「漢字」だと言えるんじゃないでしょうか? だって、「まるひ」という読み方をするわけですし、「外部にもれないよう、取り扱いに注意すること」といった意味を表しているわけですから。
私たちが「まるひ」を「漢字」だとは思わないのは、おそらく、丸で囲まれているから。でも、漢数字の「〇(ゼロ)」という例もありますからねえ!
「漢字」も「記号」の一種です。では、どこまでが「記号」で、どこからが「漢字」なのでしょうか?
これは、なかなかむずかしい問題です。「図書館」は漢字で「まるひ」が漢字ではないことをスッキリと説明できるような「漢字」の定義を、私はまだ見つけられないでいるのです。
| 固定リンク
| コメント (3)
| トラックバック (0)
