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2016年4月 3日 (日)

カステラは自由の味

 とある知り合いから、福砂屋さんのカステラを送っていただきました。口に入れると、ふんわりした触感の最後にザラメの歯ごたえがカリッと残って、週末の午後には最適です。

 大満足しながら、パッケージに入っていた「福砂屋 カステラ縁起」という紙を眺めておりましたら、目に入ってきたのが、写真のような、昔の本の一部分。説明文によると、1885(明治18)年に刊行された、『商工技芸崎陽之魁』という、長崎の名店を紹介した本だそうです。

Photo

 これは、漢字的には、ツッコミどころ満載ですね!

 最初の「蒸菓子」の「蒸」は、「丞」の部分が、左の「フ」が「口」になっていて、なおかつ下の横棒がない形。「菓」は、「果」の部分が「杲」に。次の行の「二」の下に「亅」を書いた漢字は、「干菓子」の「干」でありましょう。みんな、現在、私たちが使っている漢字とは、だいぶ異なる印象を与えます。

 住所の「長嵜舩大工町」の「嵜」と「舩」は、それぞれ「崎」と「船」の異体字。現在でも、お名前などで見かけることがありますね。最後の行、「福砂屋大舗」の「舗」は、「舎」が崩されて、ほとんど「斗」のような形に。ついでに言えば、「甫」の右上の点がありません。

 さらには、「福」の「礻」が旧字体の「示」ではないのにも、要注目です。

 そのほか、「製造」の「造」も、隷書風のやや特殊な形。「処」の旧字体「處」は、「虍」の左の「丿」がありません。

 明治の中ごろには、印刷された本であっても、漢字の形はかくまで自由だったのですね。私たちの時代のように、ある漢字の形がある1つに決まっているというのは、漢字の長い歴史の中では、むしろ特殊な状態のでしょう。

 南蛮風の甘味をたのしみながら、同時に、漢字の歴史にも思いを馳せたという次第。なかなか有意義な、春の午後でありました。

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漢字・ことば」カテゴリの記事

コメント

こんにちは。
まさに突っ込みどころ満載ですね。
「二」の下に撥ねた縦棒で干菓子の「干」とは気づきませんでした。そしてこれだけの漢字が並んでいるのに何故
「福」が旧字体ではないのか不思議ですね。
これを作成した人が実は新字体世代の人だったとか・・・
(あり得ないけれど)・・・
新し物好きの人だったのか・・・

「銀座カリー」のパッケージの「座」の字の「坐」の左の「人」の字が月だか丸だかになっていると聞き、
思わず買って仲間に披露してしまいました。

投稿: モフモフ | 2016年4月 4日 (月) 16時38分

モフモフさん、コメントありがとうございます。
「銀座カリー」もおもしろいですが、「銀座アスタ」もおもしろいですよ。
「礻」については、新字体という概念では考えない方が、正解なのでしょうね。むしろ「示」の方がめずらしいような気がします。

投稿: 円満字 二郎 | 2016年4月 5日 (火) 09時03分

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