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2015年7月

2015年7月12日 (日)

ある日、動物園にて

Photo  去年の青葉の季節のこと。多摩動物公園を歩いておりましたら、写真のように書いてある道路にさしかかりました。足跡を見て、動物の名前を当ててみよう、というクイズです。

 写真に写っているのは、チーターの後ろ足。ほかにも、ライオンだとかダチョウだとかキリンだとかゾウだとか、いろいろな動物の足跡が描かれていて、動物好きの子どもが見たら、あれやこれやとひとしきり楽しめるのだろうなあ、と思いました。

 ただ、これを見て、ぼくが思い出したのは、漢字誕生にまつわる伝説でした。

 はるかな昔、蒼頡(そうけつ)とうい名の賢者がいました。彼はあるとき、鳥やけものの足跡を見て、その形の違いからどの動物の足跡かがわかることに気づきます。そして、初めて文字というものを創りだしたのだ、と。漢字研究の古典、『説文解字(せつもんかいじ)』という字書に載っているお話です。

 足跡を見て動物を推理するくらい、現代の動物好きの子どもにだって、できるかもしれないことです。自然とともに暮らしていた古代の人びとにとっては、たやすいことだったでしょう。

 ただ、蒼頡さんが偉かったのは、そこから文字を発明した、ということです。単純な図形でも、複雑な現実を表現できることに気づいた、と言い換えればよいでしょうか。

 蒼頡さんは、目が4つあったといわれるような、伝説上の存在です。しかし、はるかな昔、中国大陸のどこかに、単純な図形でも複雑な現実を表せることに気づいた人物が、いたに違いありません。それは、1人かもしれませんし、数人かもしれません。あるいは、無意識のうちにそのことに気づいただけかもしれません。おそらく、その実像が解明されることは、永遠にないでしょう。

 ただ、現在にまで続く漢字文明は、彼らから始まっていることは間違いないのです。

 ペンキで描かれた動物たちの足跡を眺めながら、そんな漢字の発明者たちに思いをいたしたのでした。

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