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2015年3月 2日 (月)

先人の努力のたまもの

 よく誤解されるのですが、ぼくは地道に努力することが苦手です。何ごとも長続きしないので、語学だとか楽器だとかは一向にものにできないまま、アラフィフに達してしまいました。仕事の場合はそんなことは言ってられないので、何かと目先を変える工夫をしつつ、なんとかこなしていくようにしてきました。

 そんなわけですから、地道に努力して作り上げられた仕事を前にすると、敬意を表さずにはいられません。

 朝日出版社さんから刊行されていた『実用漢字表現辞典』は、常用漢字を中心に、読み方や意味はもちろん、例語や用例、筆順とその注意点、漢字に関する基礎知識などなど、漢字についてのさまざまな情報を満載した1冊。ただ、惜しむらくは、編集作業をされた基礎学習研究会さんがすでに解散されたようで、近年は改訂がされないままでした。

 その改訂の作業を手伝ってほしい、と頼まれたのは、昨年の1月のこと。印刷用の原版は古くてもう手直しができないので、ゼロから組み直すことになりました。

Photo

 実際にその仕事に手を染めてみると、旧版を作られた方が、いかに地道な努力を積み重ねて来られたかが、よくわかりました。写真はぼくが組み直したものですが、400ページを超える本文のほとんどが表組みスタイルで、漢字は総ルビ。しかも、隅々まで情報を詰め込んであって、白い部分はほとんど見当たりません。

 これを、写植で、おそらく最初は手動機で組まれたのだと思うと、その努力には溜息が出るほど。

 体裁面でも内容面でも、そのよさをできる限り生かしつつ、常用漢字や人名用漢字の改訂に合わせた内容の調整も行って、このたび、『新 実用漢字表現辞典』として改めて刊行されることになりました。

 ぼくも、怠けたくなりがちな自分の身に鞭を打って、地道な組版作業をなんとかこなし終えました。その結果、先人の地道な努力のたまものが、少しでも長く商品として生き続けることになるのであれば、こんなにうれしいことはありません。

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コメント

こんばんは。いつも楽しみにおじゃましております。

写植、というのは私にとっても思い入れの強い言葉です。
一字なおすのに全行を送っていったとか、剥がれないようにまあるい鉄ペンでもってコシコシやっていた、なんてこ
とが思いおこされました。原稿を書いて、レイアウトをして、自分で貼りつけてた時代がなつかしいですね。
「新」バージョン、さっそく近くの書店で求めたいと存じます。

投稿: ボクちゃん | 2015年3月 6日 (金) 17時22分

いつもありがとうございます。
ぼくちゃんさんが写植経験者だったとは!
私自身は、写植を自分で打った経験はないのですが、台紙に貼った版下の修正などを、写植屋さんによくお願いしていたものです。
DTPは便利ですが、写植が忘れ去られてしまうのは、なんだかかなしい気がします……

投稿: 円満字 二郎 | 2015年3月 8日 (日) 13時33分

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