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2013年7月

2013年7月18日 (木)

あくまでシャレなんですからね!

 もう5年ほど前のことになりますが、お正月に実家に帰省したついでに、お天気のいい午後、神戸のハーバーランドへと出かけました。なんてことなくぶらぶらしただけだったのですが、そこで見かけたのが、この写真です。

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 子ども向けに宝石さがしをさせてくれるアトラクションなのですが、その名を「宝石の磊」といいます。何と読むのかな、と思ってよく眺めると、左側の看板の「磊」には「もり」とルビが振ってありました。

 「森」には、特に固有名詞などで、「何かがたくさん集まっている場所」を指す用法があります。そこで、「宝石がたくさん集まっているところ」という意味で「宝石の森」と名づけたかったのでしょうが、宝石なのに「木」が3つはおかしい。というより、おもしろくない。そんなわけで、「石」を3つにして「もり」と読ませてみた、といったところでしょう。なかなかシャレた名前です。

 ただ、「磊」はきちんと存在している漢字で、音読みでは「ライ」。「石がごろごろ転がっている」という意味です。「磊落(らいらく)」というと、ごろごろと転がっている石のように、細かいことにこだわらないでスケールが大きいことを指します。「豪放磊落」なんていう四字熟語は、現在でもけっこう使われる表現でしょう。

 つまり、「磊」を「もり」と読むのは、あくまでシャレ。子ども向けのアトラクションだけに、「間違って覚えたらどうするんですか!」なんていうクレームを受けてなければいいけれど……と、ひとごとながら心配したのでした。

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2013年7月12日 (金)

あんまり増えると困りますが。

Photo  ご多分に漏れず、ぼくも自分の部屋を片付けられないタイプで、家の人にいつも怒られてばかりいます。昨日の朝日新聞を見ておりましたら、そういう部屋のことを「汚部屋(おべや)」と呼ぶのだと書いてありました。

 このことば、以前から、テレビのニュースの特集などで耳にしていたような気もするのですが、文字の並びとしてはっきりと認識したのは、初めてのこと。そういえば、ここのところしきりに「美文字」と「汚文字(おもじ)」というのを取り上げている深夜番組もあります。

 こういった「汚」の使い方はちょっとおもしろいかも! そう考えて、インターネットをいろいろと検索してみました。

 そこで引っかかったのは、「汚家(おうち)」「汚庭(おにわ)」「汚車(おくるま)」といった表現。これらは、「おうち」「お庭」「お車」などのもじりとして生まれてきたものでしょう。ていねいさを表す接頭語「お」を漢字「汚」と書くことによって、ていねいさとは正反対の「よごれた」「きたない」イメージを表現してみたところに、おもしろさがあるわけです。

 ただし、「汚部屋」は「おべや」と濁って発音する以上、「お部屋」のもじりとして位置づけるのはちょっとむずかしそうです。むしろ、「汚水」「汚泥」「汚臭」などの「汚」が、その活躍の場を「部屋」のような2文字の熟語にまで広げた例なのだ、と考える方がすっきりするように思います。「汚文字」もその例の1つだということになりましょうか。

 今後、こういった「汚」は増えていくのでしょうか。「汚画質」ということばはネット上ではすでに使われているようです。「汚態度」「汚根性」「汚マナー」といったことばが生まれるとおもしろいな、とは思いますが、はたしてどうなりますことやら……。

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2013年7月 5日 (金)

ありえないから、おもしろい!

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 時々、思い出したように読んでみたくなるミステリ作家。それが、不可能犯罪の巨匠、ジョン・ディクスン・カーであります。先日も、駅前の小さな書店で、ふと『蠟人形館の殺人』(和爾桃子訳、創元推理文庫、2012年)を見つけて、なんとはなしに買い求めてしまったのでした。

 高校生のころから、『赤後家の殺人』『皇帝のかぎ煙草入れ』『三つの棺』『ユダの窓』などなど、名だたる作品は読んできています。今さら、それらを超える驚きが待っているはずもないでしょう。実際のところ、勢い込んで読み始めたものの、終わってみての感想は正直言ってイマイチ、という作品も少なくありません。

 それでは本作はどうかというと、1930年代のパリ、薄暗い蠟人形館の片隅から、若い女性の刺殺死体が転がり出る、という発端の雰囲気には、拍手喝采。それが中盤になると、いわゆる「闇の帝王」みたいな人物が現れ、上流階級の乱交クラブのようなものまで登場して、なにやらあやしい雲行きに。おもしろくないわけではないのですが、やっぱりあまりにもリアリティに欠けるよなあ、などとつぶやきながら、ページをめくるはめとなりました。

 ところがところが、ラストに至って、その評価は一変! 意外な犯人もさることながら、電話を通じての最後の対決は、ものすごい迫力。そして、衝撃的なラスト。こういう物語は、リアリティなど無視してかからなくては成立しません。カーの「ありえない」世界は、それはそれでやっぱり魅力的なのだなあ、と感じ入った次第でした。

 それにしても、80年ほども前に出版されたこういう作品が、きちんと新刊の文庫で読めるというのは、なんとありがたいことでしょう。日本の出版界も、まだまだ捨てたものではありませんね。

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