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2012年12月 9日 (日)

ものを贈る喜び

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 古本屋さんで買い求めた、大正時代の小学生向けの漢和辞典。開いてみたら、扉には、左上に大きく朱色のハンコで「褒賞」の二文字が。テストでいい成績をとった子どもに、ご褒美として贈られたのでしょうか。

 賞品として辞書を贈るというのは、昔から行われていたことのようです。正確な年月日のメモをなくしてしまったのですが、明治時代の新聞を見ていたときに、やはり成績優秀な小学生に『康煕字典こうきじてん』をプレゼントした、という記事を見つけたことがありました。『康煕字典』といえば、現在では専門家だってそう簡単には使いこなせない高級な辞書。「小学生でそんなものをもらっても、困ったんじゃないかなあ」とつくづく思ったことでした。

 ぼくが学生だったころには、卒業・入学祝いとして辞書を贈るというのは、そんなに珍しいことではなかったように記憶しています。出版社で働いていたころには、「辞書の名入れサービス」なんていうのもやっていたものでした。

 それはおそらく、現在でも同じで、ただ、紙の辞書から電子辞書へと姿を変えているだけではないでしょうか。

 気になるのはこれから先のこと。電子書籍リーダーが普及して、辞書もダウンロードで買う時代になると、辞書をプレゼントするときには、メールに添付して、とかいうことになるのでしょうか。少なくとも贈る方からすると、ちょっとありがたみがないような……

 我々は、「本を贈る」という文化の終焉に立ち会いつつあるのかもしれません。

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