« 夏の朝の一苦労 | トップページ | 問答無用?のゴシック体 »

2012年8月14日 (火)

煮詰まり具合を嘆きながら…

Photo

 両手を頭の後ろに組んで、ぼうっとあらぬ方向を眺めている……。

 仕事が煮詰まったときに、きっと、みなさんがなさっているポーズでしょう。今朝のぼくも例外ではなく、そうやってぼんやりしておりましたら、ふと、眼に入ってきたのは、本棚の最上段にある、尾崎雄二郎先生の『漢字の年輪』(角川書店、1989)。名著であります。

 尾崎先生は、漢字の、特に音韻学の泰斗でいらして、この本ではその学識を、実にフランクな口調で語っていらっしゃいます。とはいえ内容的にはかなり高度で、ぼくにはよく理解できない部分がたくさんあるのですが、「字典」とはいったい何なのかとか、「和」を名前で「かず」と読むことがあるのはどうしてかとか、「連綿字」なるものの存在とか、いろいろと教えていただいたものです。

 その名著も、残念なことに現在では絶版。ぼくは古書店で見つけて買ったのですが、新刊時の定価は3900円。布クロスの上製で、文学全集ばりの貼り函に入っているという豪華な造本ですから致し方ないことではありますが、いつかもっと手に取りやすい形で再刊されるといいなあ、と思います。

 ところで、今朝、ぼんやりとしていたぼくの眼に入ってきたのは、この本の書名の「漢」の字。今まで気づかなかったのですが、よく見てみると、最後に書く部分が「人」のように左右の払いをつなげるのではなく、「八」のように分けて点を打つ形で書いてあります。

 学校の漢字テストでこんなふうに書いたら、確実にバツにされそう。でも、現在、広く使われている楷書(かいしょ)の元になった隷書(れいしょ)では、この形もよく見かけます。

 かの『大漢和辞典』の表紙の書名も、この形だったなあ。そんなことを思い出しながら、漢字の歴史というものに思いをはせたことでした。

 とは申しても、仕事の煮詰まり具合はいっこうに改善されはしないのですが。

|

« 夏の朝の一苦労 | トップページ | 問答無用?のゴシック体 »

漢字・ことば」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/1639146/46687612

この記事へのトラックバック一覧です: 煮詰まり具合を嘆きながら…:

« 夏の朝の一苦労 | トップページ | 問答無用?のゴシック体 »