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2012年7月23日 (月)

器用な人がいたもんだ!

 ぼく自身は経験したことがないのですが、その昔、書物の印刷には活版印刷という方式が使われていました。鉛で作った活字を1文字ずつ組み合わせて、文章をつづり、ページを組み立てていく方法です。コンピュータを駆使してページを組み立てていく現在の方法に比べると、はるかに手間がかかりますが、刷り上がりにはなんともいえない味わいがあることも確かです。

Photo

 また、熟練した活版印刷工の能力はものすごいもので、原稿の書き間違いもきちんと直して組んでくれた、などといいます。出版業界で働き始めたころ、先輩たちが「活版の時代はよかったなあ」とノスタルジックに語るのを、よく聞かされたものでした。

 さて、活版印刷の場合、既存の活字にない文字が出てくると、作字をすることになります。これから先、何度も使いそうな字であれば、きちんと母型から作るのでしょうが、そうでなければ、その場で木を彫って作ってしまいます。

 写真はその1本。先輩が、ある漢和辞典を担当した記念に取っておいたのを、譲ってくださったものです。わずか3ミリ四方のスペースにものの見事に彫られているのは、「氵(さんずい)」に「省」と書く漢字。職人さんの器用さが思われます。先っぽがインクで黒く汚れているのは、実際の印刷に使われた証拠です。

 ちなみに、この漢字は「水門」という意味らしいですが、そのときの漢和辞典の見出し文字としては、もちろん載っていません。いったい、どんなところで使ったものやら。

 活版印刷そのものは、今でもやっている印刷所がありますし、鉛の活字だって買い求めることができます。でも、このような木製の手作り活字は、印刷が終わればすぐに捨てられてしまうもの。なかなか貴重な1本ではないかと思います。

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