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2012年4月15日 (日)

姉妹都市の秘密

 姉妹都市、姉妹校、姉妹編、姉妹品……。これらはどうして「兄弟」ではないのだろうか? 英語でもsister cityとかsister schoolというらしいから、その翻訳から生まれたことばなのだろう。つまり、洋の東西を問わず、男性よりも女性の方が情が深いということだろうか。いやいや、それには異論がある人も多いに違いない。
 ずっと前からそんなことが気になっていたのだが、先日、1915(大正4)年に刊行された『漢和大辞書』(興文社)という漢和辞典に、興味深い記述を見つけた。この辞書の【姉妹】のところには、【姉妹艦】という項目がくっついていて、次のように説明がされている。
 「二つの軍艦の其の形態構造相似たるものを互に云ふ。艦は、英語にて女性詞なるが故なり。」
 フランス語やドイツ語などでいう「女性名詞」は、英語にはない。だが、ヨーロッパでは船は女性なのだ、と耳にしたことがある。そういえば、少年時代に見た映画『スタートレック』の第1作で、何年かぶりでエンタープライズ号の指揮をとることになったカーク提督が、エンタープライズ号のことをsheとかherとか呼んでいたような気がする。
 「艦は、英語にて女性詞」とは、そういうことなのだろう。だとすれば、shister shipとは言ってもbrother shipとは言わないのは、当然だ。
 調べてみると、フランス語やドイツ語では、「都市」や「学校」も女性名詞らしい。「姉妹○○」というのはここから来ていたのか、と納得した次第だった。
 ちなみに、『漢和大辞書』の著者は、芳賀剛太郎(はが・ごうたろう、1867〜1947)といって、大正から昭和戦前にかけていくつもの漢和辞典を世に送り出した、漢和辞典の歴史の上では重要な人物だ。この辞書は芳賀の大作の1つで、収録親字数は、総画索引で数えた限りでは2万2950。現在でも、これだけの漢字を収録した漢和辞典は、数えるくらいしかない。単に意味を説明するだけではなく、書き誤りやすい漢字についての注意が詳しいのが大きな特徴。また、この【姉妹艦】のようにちょくちょくと付加情報が載せられていて、なかなか勉強になる辞書である。

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