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2012年3月 6日 (火)

ハシラの外は、あと何ミリ?

 ここのところ話題になっている、三上延『ビブリア古書堂の事件手帖』(メディアワークス文庫)を読む。たしかにおもしろいなあ。本にはその内容とは別個に、その本とその読者とだけが生み出す物語がある。そのことを、堪能させてもらった。かわいくて胸の大きな女性が表紙に描かれた本を買うのは、この年になると何かと気が引けるのだが、それを乗り越えてレジまで持っていった甲斐があったというものだ。

 ただ、この本を読んでいてぼくが落ち着かない気分になったのは、ヒロインの栞子さんが魅力的だからだけではない。

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 たいていの本には、ページの余白の部分に、各章のタイトルなどが小さな文字で印刷されている「ハシラ」と呼ばれる部分がある。最近、そのハシラがページの端にかなり寄っている本を、よく見かける。この本もその1つで、ハシラの上端からページの紙の端までのアキは5ミリ。何かの拍子に、ハシラの文字が紙の外へと転げ落ちてしまわないかと、心配になるのだ。

 文庫本はサイズが小さいから、余白が狭くなるのもしかたない。とはいえ、ハシラから紙の端までの距離は、ふつうは10ミリ前後はある。メディアワークス文庫の5ミリというのは、かなり狭い。ハシラの下端から本文の上端までは、6.5ミリ。これを逆転させて、ハシラの上のアキを6.5ミリ、下のアキを5ミリにすれば、だいぶ落ち着くんじゃないだろうか。

 ただし、そう感じるのは、ぼくが書籍系の編集者だからだろう。雑誌では、1ページに収める情報量を多くするため、余白はかなり小さくしか取らない。言ってみれば、書籍には余白があるが、雑誌には余白はない。書籍のページは、紙の大きさとは別個に、本文が印刷されている部分(これを「版ヅラ」と呼んでいる)が確固として存在するという二重構造になっているのに対して、雑誌のページは一元的なのだ。

 そういう意味では、最近よく見かける、ハシラが転げ落ちそうな本は、雑誌的な感覚で編集されているのかもしれない。善し悪しの問題ではなく、ちょっと大げさに言うならば、世界観の問題なのである。

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