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2012年2月 9日 (木)

ロウバイの香り

 テレビ埼玉を見ていたら、宝登山(ほどさん)のロウバイ園のCMをやっていた。秩父の方にあるちょっとした観光名所で、もう20年近く前に遊びに行ったことがある。その中で、「ロウバイの甘い香り」というナレーションが、耳に留まった。

Photo_2

 そうか、ロウバイって、甘い香りがするもんなんだ……

 ロウバイの花は、よく知っている。黄色くて半透明のその花びらは、まるでロウ細工のよう。毎年、冬の寒い盛りに可憐な花を咲かせて、もう春は遠くはないんだと、元気づけてくれる。だが、ロウバイの香りは意識したことがなかった。ぼくは、味覚と嗅覚に関しては、人一倍、鈍感なのだ。

 ロウバイは、漢字では「臘梅」と書く。「臘」はなかなか目にしない漢字だが、旧暦の12月を指す。「旧臘(きゅうろう)」とは去年の12月のこと。「臘梅」は、旧暦の12月ごろに咲く梅に似た花、ということなのだろう。

 そんなふうに、ぼくは「臘梅」という漢字のことをそれなりによく知っているつもりだ。そして、ロウバイという花のこともわかっているつもりだった。なのに、これまでまったくその香りを嗅いだことがなかったとは!

 ことばだけ知っていたって、漢字だけ知っていたって、しかたがないよなあ。

 ご近所さんに、毎年、見事なロウバイを咲かせるおうちがある。久々のお天気だし、お散歩がてら、行って香りを味わってみることにした。玄関を出ると、抜けるような冬の青空。お向かいさんのベランダでは、色とりどりの洗濯物が、気持ちよさそうに陽差しを浴びている。

 目指すロウバイの木は、今を盛りと咲き誇っている。お庭から道へとはみ出した一枝に、鼻をそっと近づけてみる。特に匂いは感じないぞ。わが鼻はやっぱり、不良品かな?

 思い切って、ロウバイの花に、性能不良のわが鼻を埋めてみる。こんなことをしているのを人に見られると、アヤシイと思われるだろうなあ……

 その一瞬。甘くすっぱい香りがした。

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